僕は、未だ空の青さを知らない

ネット空間の僻地で、生きている事の爪痕的な、僕の独善とした散文を綴る場所

プーチン滅びの序曲

 ウクライナの民間防衛と、NATO諸国の情報、物資的バックアップにより、ロシア軍の大勝利は、現状、消えてなくなった。


 元々、プーチンの独断専行で始まった戦であり、当然、兵の士気は低い。

 ロシア軍兵士の心理を想像するだけで胸が痛む。

 同じ言語で、悪魔と罵声を浴びせられ、同じ言語で断末魔の声をあげて死ぬ相手に銃口を向け発砲しなくてはならない。これは地獄だ。

 

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 逆に、ウクライナには世界の世論が味方している。
 そして、なにより逃げずに立ち向かう姿勢を見せた大統領の英断により、国民の心が一つにまとまった。
 軍の士気も高く、国民も力強く前を向いている。侵略者に対して、国民も立ち上がった。

 

 ロシア軍20万に対して、千万を超えるだろう国民義勇兵が立ち向かう。歴史を見ても、国民国家設立以降、この状態で侵略軍が勝ったためしが、ほぼない。最悪のカードを使えば別だが。

 

 世界から悪魔の侵略者と蔑まれながらロシア軍は、ウクライナの正義の軍勢と戦い続ける事になる。この流れのまま、侵略を続けるなら、なにかの切っ掛けで、軍が分裂する事も普通にあり得る。状況によれば、ロシア本国でも……。

 

 侵略軍の中にチェチェンの勇猛な軍勢を従軍させているようだが、このウクライナの惨状は、彼らの胸に響くものもあるだろう。当然、指揮官はロシアに忠誠従っているだろうが、下士官以下はどうだろうか……。

 

 不安要素しかない。それも、かなりヤバ目の。

 

 ロシアの戦略としては、圧倒的武力により進軍し、ウクライナを裏切りで切り崩しながら首都を目指し、士気の下がった防衛軍を蹴散らして首都占領。国家の首脳陣をすげ替える――。


 こうだったのだろうが、逆に、今は、自らを守るロシアの内部分裂に、戦々恐々としているはずだ。


 無数のカメラから発信されるリアルタイムの情報。ラグなく構築される世界の世論。
 十年前なら、情報統制は上手くいったかもしれない。だが、プーチンは、現在の情報の速度を甘く見ていたのだろう。
 
 プーチンとロシア軍は、今、八方ふさがりとなっている。

 

 ウクライナの首脳部殺害を成す事が出来れば丸く収まるが、それは相手も重々理解しているので、不可能に近い。

 ならばと、ウクライナを力でねじ伏せるには、大量虐殺を覚悟しなくてはならず、それは確実に世界の目にさらされる。それは滅びの道である。
 そしてウクライナから退くなら、自らの愚かさを露呈する事になり、失脚どころか世界の敵として、内部の敵に粛清される恐れがある。

 

 

 行くも地獄、戻るも地獄。

 

 現状が継続すると仮定するなら、プーチンの出来得る最良のプランは、力のある国家による仲裁調停によって、ウクライナと和解し、なんらかの収穫をもって帰る道しかない――。しかし、その為には、ある程度の戦果が欲しい所だ。

 

 

 僕たちは、プーチンが、最凶最悪の道を選ばない事を祈るだけだ。